「メキシコで『ダッジの新型』を見かけたら中身は『中国車』のOEMだった! 今後世界で『ステルス中国車』が増える可能性あり!!」
自動車業界は今、グローバル化の中で多くのOEM(他社ブランドの製品を製造する)契約が進んでいますが、特に注目されるのは中国メーカーが世界市場で展開する「ステルス中国車」です。最近、メキシコでは「ダッジ」の新型車が実は中国製のOEM車両だったというケースが話題になりました。これは中国メーカーが世界各地でブランド力を強めるための一環であり、今後も「ステルス中国車」が増加する可能性が高いと言われています。
ダッジの新型=中国車のOEM、その背景
2021年、メキシコ市場に投入されたダッジの新型SUV「ジャーニー(Journey)」は、多くの人にとって驚きの存在でした。なぜなら、その中身は実は中国の自動車メーカー、GAC(広州汽車)が製造した「伝祺 GS5」のOEMモデルだったのです。
GACは中国国内で強い存在感を持つ自動車メーカーであり、近年では北米や中南米を含む海外市場への進出を積極的に進めています。ダッジとの提携はその一環であり、既存のブランド力を活用して中国車を世界に浸透させる戦略です。これは、現地の自動車市場で新興ブランドとして認知されるよりも、すでに信頼されているブランドとの提携によって市場に迅速に入ることができるという利点を持っています。
なぜ「ステルス中国車」が増えるのか?
中国自動車メーカーが他国ブランドのOEM供給を通じて進出する背景には、いくつかの戦略的理由があります。
1. ブランド信頼の構築
中国車は、世界市場ではまだ「信頼性」や「品質」で欧米や日本車に劣ると見られることが多いです。しかし、ダッジやフィアットなど、すでに世界的に知られたブランドを通じて販売することで、消費者は「中国製」であることを気にすることなく、購入のハードルが下がります。これにより、ブランド信頼を間接的に構築できるのです。
2. コスト削減と市場シェア拡大
中国車は、製造コストが比較的低いため、他国メーカーにとってもOEM供給を受けることで利益を確保しやすいメリットがあります。これにより、中国メーカーは生産技術と価格競争力を武器に、急速に市場シェアを拡大することが可能です。
3. 技術力とデザインの向上
かつて「安かろう、悪かろう」と思われがちだった中国車ですが、近年は技術力やデザインの向上が著しく、欧米や日本のメーカーにも引けを取らないモデルが増えています。これにより、品質のイメージを改善しつつ、先進的な技術を持つメーカーとの提携が増える傾向にあります。
他にもある「ステルス中国車」
中国メーカーのOEM車両は、メキシコだけでなく、他の国々でも見られます。たとえば、ブラジルでは「フィアット・アージ」として販売されている車両が、実は中国メーカー、グレートウォールのOEMモデルであるというケースも存在します。こうした「ステルス中国車」の存在は、特に新興市場やコスト重視の地域で増えつつあります。
また、ヨーロッパでもボルボの親会社である吉利(Geely)は、ボルボの技術と自社の生産力を組み合わせ、プレミアムなイメージのブランドとして定着させる戦略を進めています。このように、ブランド提携を通じて中国メーカーがヨーロッパ市場でも影響力を拡大しつつあります。
今後の展望:世界中で増える「ステルス中国車」?
中国車の進出は、これまでの安価な製品というイメージから、技術力と品質を強化した「隠れた強者」へと変化しています。特に電気自動車(EV)分野では、中国メーカーは既に世界のリーダーシップを取りつつあり、BYDやNIOなどのブランドが世界的な知名度を上げています。今後はさらに多くの中国製車両が、他の有名ブランドとの提携やOEMを通じて市場に登場する可能性があります。
また、消費者は自分が購入する車が「どこの国で作られたか」よりも、「どれだけの価値を提供するか」を重視する傾向にあります。このため、ブランドネームの裏に隠れた中国製車両が増加することは、自然な流れといえるでしょう。
結論
「ステルス中国車」は、すでにメキシコをはじめとする世界各地で存在感を強めています。ダッジやフィアットといった既存のブランドとの提携を活用することで、中国メーカーはブランドの信頼性を高めながら、低コストで効率的に市場に進出しています。今後、この流れはさらに加速し、私たちが思っている以上に中国製車両が世界の自動車市場で重要な役割を果たすことになるでしょう。