シューティングブレークって何?ワゴンとの違いは?
車のスタイルの中には「シューティングブレーク」という、あまり聞き慣れないジャンルがあります。この「シューティングブレーク」とは何か、そして「ワゴン」とはどう違うのか、今回はその違いと、フェラーリ「FF」やポルシェ「タイカン スポーツツーリスモ」などのスポーツカーがこのジャンルに含まれるのかどうかを解説します。
シューティングブレークとは?
「シューティングブレーク」という言葉は、イギリスで発祥した自動車のボディスタイルの一つで、元々は19世紀の貴族たちが狩猟(shooting)に出かける際に使用した馬車に由来しています。当時の「ブレーク(brake)」は、馬車や荷物を運ぶための特別な車両を指していました。これが進化し、20世紀になると、スポーツカーの性能とステーションワゴンの実用性を組み合わせた車両が「シューティングブレーク」として誕生しました。
要するに、シューティングブレークは「スポーツカーのスタイリングと走行性能を持ちながら、ワゴンのような荷室の実用性も備えた車」ということです。スポーティなデザインを維持しつつ、リアに広い荷室スペースを確保したことで、スタイルと機能性のバランスが取れたユニークな車種となっています。
ワゴンとの違いは?
「ワゴン」と「シューティングブレーク」は一見似たようなスタイルを持つため、混同されることが多いですが、両者にはいくつかの違いがあります。
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デザイン:
ワゴンは、ファミリーカーや実用性重視の車としての役割が強く、背が高めでリアエンドも箱型に近い形をしています。一方、シューティングブレークは、スポーツカーの要素を反映した低く流麗なルーフラインが特徴で、エレガントかつダイナミックなデザインが強調されています。 -
走行性能:
シューティングブレークは、基本的に高性能なスポーツカーをベースに作られるため、エンジンや走行性能が優れており、ドライビング体験も重要視されます。対して、ワゴンは家族向けや商用車としての利用が中心で、快適性や燃費の良さ、荷物の積載量を重視する傾向があります。
フェラーリ「FF」やポルシェ「タイカン スポーツツーリスモ」はシューティングブレーク?
この「シューティングブレーク」の定義を踏まえると、フェラーリ「FF」やポルシェ「タイカン スポーツツーリスモ」は、確かにこのカテゴリーに属すると言えます。
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フェラーリFF:
フェラーリFFは、2011年に登場した4シーターの四輪駆動スポーツカーで、独特のシューティングブレークスタイルを持っています。ロングノーズ、クーペのような流麗なシルエットを持ちながら、リアには実用的な荷室があり、ラグジュアリーとパフォーマンスを両立させた一台です。フェラーリ特有のパワフルなV12エンジンを搭載しながらも、家族や荷物を積んで長距離ドライブを楽しめる実用性が特徴です。 -
ポルシェ タイカン スポーツツーリスモ:
ポルシェのタイカン スポーツツーリスモは、電動スポーツカー「タイカン」をベースにしたモデルで、スポーティな走行性能とワゴンの実用性を融合させた一台です。スタイリッシュなクーペのデザインを維持しながらも、リアに広い荷室を持つことで、日常使いにも適した電動シューティングブレークと言えるでしょう。タイカンは電動車両としても非常に高性能で、スポーツカーらしいハンドリングと加速力が備わっています。
シューティングブレークの魅力
シューティングブレークの最大の魅力は、「スポーツカーらしいデザインや走行性能を楽しみながら、実用性も妥協しない」という点です。従来のスポーツカーは、スタイルやスピードを重視するあまり、リアシートが狭かったり荷物が積みにくかったりと、日常的に使うには不便な点も多くありました。しかし、シューティングブレークはそのギャップを埋め、優雅さと実用性を高次元で融合させています。
また、限られた台数しか製造されないモデルが多く、コレクターズアイテムとしての価値も高いです。個性やデザインにこだわる車好きにとって、シューティングブレークは非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
結論
フェラーリ「FF」やポルシェ「タイカン スポーツツーリスモ」は、まさに「シューティングブレーク」というカテゴリーにふさわしい車です。このジャンルは、スポーツカーとしてのパフォーマンスとワゴンの実用性を求める人々にとって、唯一無二の選択肢です。スタイル、パフォーマンス、実用性が融合したこのボディスタイルは、今後も注目を集め続けることでしょう。