【愛すべき日本の珍車と珍技術】セダンなのに6人乗りもあった
「こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】セダンなのに6人乗りもあった! わずか4年しか生産されなかったアメリカ産のプロナード」
自動車業界には、さまざまな珍車や珍技術が生み出されてきましたが、その中でも特に注目すべき一台が、トヨタがアメリカ市場向けに開発したセダン「プロナード(Progrès)」です。この車は、日本国内ではあまり知られていませんが、セダンでありながら6人乗りが可能というユニークな特徴を持ち、短期間しか生産されなかったことから、今となっては「珍車」として語り継がれています。
プロナードの誕生と背景
プロナードは2000年に登場し、主に北米市場向けに販売されました。トヨタは当時、アメリカ市場でのプレゼンスを強化するために、既存のカムリやアバロンなどのラインナップに加えて、さらなる大型セダンを投入する必要がありました。そこで誕生したのがこのプロナードです。
プロナードは、トヨタがアメリカで生産した大型セダンで、サイズ感や走行性能はアメリカ市場に合わせて設計されていました。しかし、他のセダンとは一線を画す特徴がいくつかあります。
セダンなのに6人乗りという珍技術
通常、セダンは前席に2人、後席に3人の計5人乗りが一般的ですが、プロナードは前席の中央にも座席を設け、最大6人が乗車できるようにデザインされていました。この設計は、特にアメリカの家族向け市場での需要を見込んだもので、昔のアメリカ車に見られた「ベンチシート」の伝統を受け継いでいます。
運転席の横にもう1つの座席を配置することで、家族全員が一緒に座ることができるというユニークなレイアウトでした。このようなデザインは現在ではほとんど見られませんが、当時としては非常に革新的でした。
わずか4年で生産終了の理由
しかし、プロナードは登場からわずか4年後の2004年に生産を終了します。生産終了の主な理由は、やはりその独自性が市場に十分浸透しなかったことにあります。6人乗りのセダンというアイデアはユニークではありましたが、消費者の多くはSUVやミニバンといった、より実用的な多人数乗車車両にシフトしていたため、セダンとしてのプロナードは市場で大きな成功を収めることができませんでした。
また、当時のトヨタはアメリカ市場での他モデル(カムリやレクサスシリーズ)の販売に力を入れていたこともあり、プロナードはその陰に隠れてしまったと言えます。
プロナードの遺産
プロナードは短命に終わりましたが、その独自の設計やコンセプトは、今でも一部の自動車愛好家から「珍車」として愛されています。特にその6人乗りのレイアウトは、現代のクルマではなかなか見ることのできないレトロな魅力を持っています。また、トヨタの技術力とデザインの多様性を示す一例として、後世に語り継がれているのです。
プロナードのような珍車に興味がある方は、ぜひその独自のデザインや技術に注目してみてはいかがでしょうか。